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2017年10月の投稿

2017年10月29日 (日)

辻井伸行 ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第2番

 音楽は文化である。世の中には、差別もあれば、ハンデを負った人への慈しみや同情もある。だから、そういう要素を抜きにして文化である音楽を語ることはできない。
 
 私が辻井伸行を聴き始めたのは、ほんの4、5年前だが、彼が全盲であるという情報がしっかりインプットされた状態で聴くことになった。最初は私の頭はその情報に圧倒的に支配されて聴いており、彼の演奏はほとんど聴こえていなかったのである。しかし、聴き続けるうちに全盲の情報は少しずつ薄らぎ、演奏を楽しめるようになってきた。とはいえ、やはり全盲の演奏家辻井伸行という認識がなくなるわけではない。
 
 わたしはその認識を完全に排除して、演奏そのものを、音そのものを聴こうとしていた。しかし、それは無理な話で、間違ってさえいる。音楽自体が、人間の生活や感情の表現であるから、「純粋」音楽などというものはないのである。
 
 辻井伸行が全盲だからという理由で感動する人もいれば、そこからより自由になって演奏を楽しんでいるひともいるだろう。それでいいのである。そこに何ら間違いはない。演奏する人たちに多様性があり、聴く人にも多様性がある。
 
 あれこれ言っても、辻井伸行が高く評価されていることに疑問の余地はない。
 

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