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2016年8月20日 (土)

不運を引き受けた吉田沙保里 君悲しみたまふことなかれ

 リオオリンピック女子レスリング競技において金メダル4個を獲得するという大活躍を見せた。特に初日は奇跡的な逆転劇もあり、3選手がすべて金という予想を上回る結果であった。
 私はレスリング競技に特に詳しいわけではないが、女子については世界のトップに君臨しており、マスコミでの露出も多く、情報が入ってくる。私の戦前の予想では、伊調選手と吉田選手の金はかなり厳しいのではないかと考えていた。この過酷な競技において加齢にともなう体力低下の影響は大きいであろうし、年々攻め方も研究されているだろうから、最後まで勝ち続ける可能性は前回よりも大きく低下していると考えていた。
 伊調選手は逆転で金をつかんだ。もちろん、地力があっての勝利ではあるが、薄氷を踏んだ。これは日本選手の初日のよい「流れ」、「運の流れ」がもたらしたものだと思う。しかし、流れはいつまでも続くものではない。幸運の総量には限りがある。
 不運を引き受けたのは吉田沙保里選手だった。決勝戦での点数の差はわずかだったから、展開によっては金もありえたかもしれないが、もはや流れは残っていなかった。吉田選手はチームの、あるいはそこを超えて日本選手団のリーダー的役割を担い、その部分にも気を使わざるをえなかった。いろいろなことがマイナスの要因になったに違いない。しかし、その分、他の選手の結果になって現れたに違いない。私はそう解釈する。
 吉田選手は、悔しいだろうが、一戦の勝ち負けやメダルの色にこだわらず、自分の役割とこれまでのレスリング人生を誇ればいいのだと思う。観ていた人々は、だれも失望などせず、奮闘を称賛するに違いないのだ。
 米国の新聞は、この一戦の結果を、今大会最大の番狂わせだと報じた。世界が認めるレスリングの女王であった。

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