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2016年7月10日 (日)

石川啄木の言葉(中野重治の評論より)

 
 抜き書きです。
 即ち我々の理想は最早『善』や『美』に対する空想である訳はない。一切の空想を峻拒(しゅんきょ)して、其処に残る唯一の真実 ―『必要』! これ実に我々が未来に向かって求むべき一切である。我々は今最も厳密に、大胆に、自由に『今日』を研究して、其処に我々自身にとっての『明日』の必要性を発見しなければならぬ。必要は最も確実なる理想である。
 二十代の若者が、現実の社会状況および周囲にあふれる諸思想と葛藤していた。そして、時代閉塞という状況を分析し、改革・改善することなしに理想に向かうことができないことを悟っている。 
 どれだけ彼が「分析」能力を有していたか、不勉強で知らないけれども、貧困と病のために、その手段を得ることは大層困難であったことは想像できる。そのために気持ちばかりが先走ってしまったのではないかと思う。
 志があり才覚のある若者は大事にしたい。過去には、戦場や監獄で多くの才能を失くしてきたではないか。経済界だけではなく、文学や社会運動の分野でも、才能の芽を発見し、伸ばすことに注意を注ごうではないか。

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