« 昔の田舎の運動会 | トップページ | 極限状態に生きた人間の真似はできない »

2013年10月13日 (日)

アベノミクスと実体経済の成長

 アベノミクスが日本経済の本格的(実体的)成長をもたらすかどうかのメルクマールは、賃金の上昇である。これは首相自らが口にしていることであり、これ自体を否定する人はいないだろう。

 円安と株高がまず進行した。これは政府の大胆な政策発表によって、投資家の心理が緩んだからである。狙い通りに動いたと言える。円安で輸出企業の収益が改善し、株高も企業の業績に好影響を与えるとともに、個人投資家にも一定の利益をもたらした。一部企業の収益回復は労働者の賞与を増加させた。この結果、個人消費も一定の伸びを示した。

 円安は物価の上昇をもたらした。穀物や原油などが上がり、消費生活に影響を与えている。賃金が上昇しない層にとって、これは痛手である。デフレ脱却とは言うが、物価の上昇だけでは目指しているものとは違ってくる。おまけに、消費増税3%が決定された。単純に考えて、物価上昇率と3%を足した数字を賃金の上昇が上回らないと生活は改善されない。

 本当にそうなるだろうか。賃金が万遍なく、平均的に上がるということは実際には起こらない。まだら模様になるだろう。同じまだらなら、賃金の低い層が上がることが望ましい。そもそもデフレの原因(結果とも言えるが)低賃金の非正規雇用者が大量に生み出されたことにある。下手な自由化政策を打たなければ、経済の停滞は防げたように思う。日産などの大企業は業績を回復させたが、それは労働者の困窮と引き換えであったのであり、日本経済には大きなマイナスであった。

 アベノミクスが、このような格差、不均衡を解消する作用を持ちうるだろうか。賃金を上げろと経済団体に呼びかけても、決めるのは個々の企業である。強制力はない。それを分かって言っているのなら単なる芝居にすぎない。収益性の悪いサービス業などはなかなか賃金が上がらず、さらに消費増税は重しとなろう。就活に失敗した若者の決して明るくない。

 二極分化、貧富の差の解消への動きが望まれる。そうしてかつてそうであったように中間層があつくなれば内需が活発となり国民経済は蘇るだろう。そのポリシーがなければ、一部の富裕層を喜ばせる政策で終わり、多くの国民との矛盾を拡大する。バブルは、ただでさえ苦しい労働者から富裕層への富のペテン的移動である。

« 昔の田舎の運動会 | トップページ | 極限状態に生きた人間の真似はできない »