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2013年9月14日 (土)

業界格差

 業界によって企業の収益性と従業員の所得において大きなギャップが存在している。さらには従業員の労働条件などにおいても同様のギャップがある。

 非常に厳しい条件にある業界の一つは、飲食業である。この業界には参入障壁がない。したがって競争が激しく、開店・閉店のサイクルが短い。競争が激しいために付加価値が小さくなる。また、繁閑の差も大きいので、従業員を常雇いすることができない。従業員の9割をパート、アルバイトが占めており、正社員の労働条件も厳しいし、所得も決して大きくはない。

 あるとき、あるチェーン店に勤める人のタイムカードを見せてもらったが、ほぼ毎日お昼前に出勤し、夜中の1時、2時に帰っている。休日は3日間であった。夜中の電車も終わった時間にどうやって家に帰るのだろうか。タクシーで帰るほどの給料は得ていないはずだ。店舗で仮眠をとり、始発で帰り、少し自宅で寝て、再び出勤するのだろうか。休みが3日では疲れも取れまい。この業界に詳しい人の話では、30代に体を壊し、郷里に帰る人も多いらしい。

 外食チェーンのWやZがブラック企業と言われているが、他もあまり大差はないのではないか。どこも正社員は厳しいに違いない。飲食業は個人経営でも楽ではない仕事である。仕入、仕込み、営業、そして片付け。重労働である。これを家族で協力し合ってやっているから続けられる面があった。また自宅兼店舗であれば固定費がかからない。そういう要素があって成り立っていたものを企業化すると、社員にしわ寄せが行くのである。

 この業界に食材などを提供する卸売業も過酷な業界だ。ここも付加価値が大きくないので、配達も軒数を回って一人あたりの売り上げを上げなければならない。朝早く出勤し、配達する商品をピッキングして、順路にしたがって車に積み込みする。細かいのでかなりの時間を要する。それが終わると営業をしながら一軒ずつ配達を続ける。郊外はまだよいが、繁華街の配達は気も使うし、ビルのなかだと時間もかかる。帰ってくるのは夜である。それから、途中でもらった注文のCPへの打ち込みを行う。当然帰宅は遅くなる。

 私はこういう業界に関わってきたので内情はよく知っている。人がよく入れ替わる。入れ替わる方が人件費が抑えられるので歓迎する経営者もいる。ひどい経営者だと思うかもしれないが、待遇改善しにくい事情も確かにある。これに対し、食品の大手メーカーの社員などは雲泥の差であろう。労働時間は短く、所得は多い。時間当たり賃金は倍以上であるに違いない。

 正社員と非正社員の格差が論じられるが、一方で業界間格差も議論されてしかるべきである。改善策は容易ならざるものがあるが。

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