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2013年8月15日 (木)

精神医療のいい加減さ

 厚生労働省の情報によれば、平成20年に精神科で診療を受けた人の数は、323万人である。平成11年が204万人なので、その増え方の大きさに驚きを覚える。約120万人の増加で、約6割の増加率である。

 内訳をみると、もっとも増加しているのは「うつ病など」のカテゴリーで60万人増えている。次にアルツハイマー病が約20万人増加した。この急激な増加は不自然である。これは人間の脳自体の変化というよりも社会的な環境変化、言い方は変だが、病気以外の条件で病気になったということではないか。これは患者数であり、病院や医院に受診に訪れて診察・治療を受けた人の数であるから、「今までは行かなかった程度の人まで行くようになった」と考えれば説明がつく。また受け入れる医者の方も、あなたは病気ではないと診断して帰せば、この中には人数として入らないはずである。

 「うつ病」は企業で働く人たちのなかで非常に目立つようになり、珍しくなくなった。したがって病気の表明に対する抵抗感は減少した。そうすると自分に本に書いてあるような傾向が出た場合に医者へ行こうとする。会社もまた、症状が重くなったら困るので医者へ行くように勧める。このような流れで「患者」が増えたのではないか。患者が増えだすと、心療内科の看板を上げる医者が増える。心療内科は設備投資がいらず、気軽に始められる特徴がある。医者の方は、症状を訴えられるととりあえず「うつ状態」という診断を下し、薬を処方する。

 このようにして精神疾患の患者数が増え、心療内科医も増え、投薬の量も増え、医療費が増えていく。これは医者や製薬会社にはおいしい話である。誰でも彼でも患者に仕立て上げていないだろうか。先も言ったように、適切な診断をして、「あなたは病気ではない。心の持ち方を変え、生活を改善すれば自力で改善できる。」と言い切れる医者は少ないのだろう。かなりの部分は、まわりの人の援助や本人の意志で改善が可能なものではないだろうか。つまらない医者にかかってしまうと、ろくに診察もせず投薬だけして、定期的な診断を指示される。そんな状況で薬への依存が生まれる。長期化すると副作用が現れる。もともと薬なしで治る者が、薬がもとで社会に復帰できない体になってしまうのだ。

 社会が窮屈になると、環境さえ変えればすぐによくなる精神的な傾向に対して手が打てなくなる。住む場所を変えるとか、勤め先を変えるという事が大きなリスクを伴い容易ではない、そうすると、薬で、ということになる。病気を生産する社会なのである。

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