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2012年9月 9日 (日)

じゅういちぶんのいち 第3,4巻 中村たかとし

 梅田の丸善&ジュンク堂にはよく行くが、地下の漫画本売り場に初めて下りた。それというのも、「じゅういちぶんのいち」のポスターが目に入ったからだ。第1巻、第2巻と、その清々しく感動的な内容に感心しながら読んできたのだが、その後の出版については情報を持っていなかった。

 地下へ行くと、幅は広くはないが特設のコーナーがあり、第4巻まで並んでいる。迷わず3,4巻を購入した。マンガ雑誌に作品をとり上げてもらうまでには随分の年月と苦労を要し、さらに単行本として出版されるのは大変なことだそうだ。売れてきたらスタッフを抱えることになるので、漫画家で食べていくのは生易しいものではないと聞く。

 私は年齢のこともあるが、元来漫画読みではない。主には文学である。だから、漫画に対する評価尺度は文学ほどはっきりしていない。だけれども、そういうことは抜きにしてただ面白いというだけではなく、はっきりとした主張があるのを感じるのである。

 それはある意味単純なことではあるが、若者が失くしかけているもの(人生の一時期を費やすに値する「夢」や「目標」)を必死に訴えかけようとしている。枚数や素材が限られている中での表現で、湿気のないそよ風のようにさらっと流れていくのだが、感じさせるものは決して軽くはない。

 おそらくは、今の若者に、目標に向かって必死に生きることの尊さを伝える方法の一つとして、こういうものが有効なのだろう。高校野球もオリンピックも感動は大きいが、それは現実ではあっても自分からは遠い。おかしな話だが、漫画というフィクションがかえって身近なものになっている。それは中村たかとしが作り上げる人物像が、決して傑出した人間ではなく、実にありふれた人間だからではないだろうか。とはいいながら、ありふれたなかに失ってはならない人間の魂をしっかりと刻んでいるのである。

 中年の男にも涙を誘う「じゅういちぶんのいち」。第5巻を楽しみに待ちたい。

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