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2012年1月22日 (日)

生活保護について

  現在、生活保護を受けている世帯は150万世帯あり、受給者数は207万人に達するそうです。生活保護を受けている人は、嘘の申告をしていない限り、財産がなく、貯金もなく、生活に足る勤労収入や給付金のない人たちです。基本的には、経済情勢の悪化で雇用が減ったり、賃金の引き下げがあったりで、手にするお金が少なくなっていることが増加の背景にあります。

 借家住まいだから家賃が要ります。水道光熱費がかかります。食費は必須です。いろいろ考えると最低限必要なお金は結構な額になりますね。生きていくためにぎりぎり必要な金額を得れば当座はしのげます。そのための給付を受けることがまず必要ですし、制度としても望ましい。
 しかし、まだ働ける世代の場合はプラスアルファがないと厳しいと思います。再起するためには勉強しなければならないし、人間関係が大事だし、着るものだって粗末なものでは面接にも行けない。いったん落ちてしまった人が立ち上がるのは難しことなんだなと思います。こういう場合は、私的な支援と公的な支援の両方が組み合わさらないと上手くいかないのではないでしょうか。

 そんなふうに落ちてしまうのは本人が悪いからだという意見もあります。もちろん原因をたどれば本人の考え方や行動の仕方に由来する要素もあるでしょう。勤めても長続きしないとか、ギャンブル好きだとか、健康管理ができないとか、そういうことがあります。そんな人に税金を使うのは納税者として許せないし、努力しないものはそれなりの報いを受けるべきだという懲罰的意見も出てきます。
 ところが、よく見ていくと本人の責任に帰することのできない要素が出てきます。規律の身に就かない環境に育ったとか、生まれつき病弱だったとか、人に騙されたとか、そんな過去のあることが分かってくる。そうすると、人間の社会というものは、あるいは今の段階の社会においては、このような境遇の人を一定数生み出さざるを得ないのだという考えに達します。そこから、だから社会がそれを支えなければならない、という理念が生まれるのです。
 

 生活保護費が支給されるとすぐにパチンコ屋に向かう人の姿がテレビで放映されました。こういう映像が繰り返し流されると、生活保護受給者はすべて怠け者であるという偏見が助長されます。もちろん、そういう人は一部です。生活に窮する人のなかにそういう性癖の人が含まれてしまうことは予想されますが、その手の人が存在するからといって制度の意義がなくなるわけではありません。

 生活保護受給者の増大は、私たちの社会におけるセーフティーネットの貧弱さを表しているのかもしれません。充実していれば、もっと前に他の制度で救われた可能性があります。失業給付や仕事の斡旋や年金の充実などがあれば、「生活保護」という、人によっては惨めさを感じる呼び方をされることはなかったのです。一つの現象はもっと大きく幅広い現象のなかに位置づけられるべきでしょう。

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