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2012年1月14日 (土)

連帯を阻むもの

 以前にも書きましたが、組織を弱体化させるには、内部の連帯にくさびを打ち込むことが有効です。すなわち、仲たがいをさせるのです。たとえば、幹部の一人が謀反を企んでいるとか、不正に蓄財を行っているとかの噂を流すのです。確か、孫子の兵法にも書いてありました。

 例えと同じようなことは会社ではないのかもしれませんが、理屈としては同じことが言えます。競争のある社会ですから、攻撃を受ける恐れは少なからずあります。気をつけなければならないのは、内から分裂を誘発する要素が発生することです。直接は外部からの働き掛けではありませんが、現象としては同じことです。

 ある人物が、AさんはBさんを追い落とそうとしていると、目立たないように言って回ります。AさんがたまたまBさんの弱点を指摘しただけなのに、それを肥大化させて悪宣伝をする。聞いた方はそれを真に受けはしませんが、他言せず心にしまっておきます。そうするとAさんに対する信頼は崩壊まではしないものの弱まるでしょう。そうすると、Aさんの指示は通りにくくなり、組織の力が減退します。ある人物の行動は組織の弱体化を狙った目的意識的な行動ではないかもしれません。病的な性向によるものかもしれない。しかし、攻撃的な作用をします。要注意です。

 もっと広く、社会的な現象についても言えます。現在、階層間での格差(所得を中心に、持てる者と持てない者の格差)が広がっており、加えてその固定化も進んでいると言われています。そのことは、各種の調査・研究で実証もされています。
 下層にいる人たちは、いわゆる社会的弱者ですから生活の困難が付きまといます。そこで、お互いに助け合ったり、篤志家の援助を受けたり、社会の改良・改革を目指す人や組織の先導を受けて連帯したりします。このような様々な活動を重ねることで、生活の危機を回避し、格差拡大の方向に歯止めをかけるのです。

 しかしながら、上記の活動が以前に比べ弱まったとの指摘があります。簡単に言えば、助け合わなくなった。このことにも多くの要因があると思います。地域社会が崩壊して相互扶助の基盤を失ったこともあるでしょう。非正規雇用が増え、従来の労働運動がその人たちをすくい上げられないという問題もあるでしょう。それから、漠然とした言い方ですが、今の消費生活のなかに人を孤立化させる要素がたくさんありすぎるという要因もあります。

 それから、意図した宣伝もあると思います。小泉さんが首相の時だったでしょうか、自己責任論や自分探し論が流布されました。これは自然発生的なものではなくて、賢い?官僚が考えて流したものらしいです。ナンバーワンよりオンリーワンとさかんに言われましたね。誰にでもいいところがあるはずだから、それを自分で見つけ、それで満足して生きなさいというメッセージだと思います。パイが大きくなる見込がないなかで競争が激化し、中間層が割れて下層へ転落する国民が増えることを官僚ははっきりと予測し、今後の制度設計を行っています。国を混乱なく統治するためには、下層に落ちた人々を騒がせてはならない。先に連帯を阻むイデオロギーを注入したのだと思います。実に巧妙であり、スマップの歌も上手く利用されて、私たちは易々とそのイデオロギーに染まってしまったのです。

 今、下層の人々に必要なのは助け合うことです。上層にいる人たちは助け合わなくても生きていけます。というよりは、上層の人たちは今ある制度や文化を背景にして暗黙のうちに助け合っているのです。

 攻撃しあうより、助け合うことです。攻撃することでしか自分の存在価値を確かめることのできない人を見かけますが、そんな行為は破壊こそすれ、何も生み出しません。弱い者ほど助け合う。当たり前の道理ではないでしょうか。

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