« 中堅企業における人事評価制度について考える | トップページ | 大阪国際女子マラソン 重友さん優勝 »

2012年1月29日 (日)

Kさんのこと

 Kさんは私の先輩で、年齢はもう70歳近くになります。以前私の勤める会社にいましたが、私の入社前に辞めています。しかし、その後何度か仕事を手伝ってもらったことがあるのです。

 Kさんは、私の会社の主力製品が発売された時期に、その普及活動で大いに貢献しました。車で全国のユーザーを回って宣伝活動を行い、注文をとってきました。昨日は九州、今日は北陸と言うように大移動しながら回っており、今でも武勇伝として語られています。私も何度聞かされたか分かりません。当時は会社も小さく、皆自分の判断で動いていました。今、会社の指示でそういう動き方をしたら労働基準法違反になるでしょう。

 古くから取引が続いているユーザーに行くと、いまでもKさんの話が出ることがあります。いい営業マンだったと褒めてくださる。Kさんは辞めてからも一人で商売を続けてきました。しかし、儲けて会社を大きくすることはできませんでした。あれだけ情熱的で、機転のきく営業マンが成功しなかった理由はどこにあるのかと考えてしまいます。

 仕事が野師的でした。一人で商売するからどうしてもそうなりがちですが、非常にニッチな商品が多い。自分が患ったせいもありますが、糖尿病に効くという(本当かどうか分かりませんが)こんにゃくを扱っていました。地域で患者を集め講習会を開くのだと言っていました。たくさん仕入れて、その支払いに困っていた様子がありました。その他、葬儀屋に商品を卸したりもしていました。

 数年前に、中国の子会社支援で上海まで二人で行ったことがあります。代理店の営業マンに飛び込み営業を教えてもらうためでした。Kさんは中国でも恐れ知らずでした。中国語は添乗員をやっていた時代に覚えたほんの片言程度ですが、それでもコミュニケーションできるところがすごい。暑い夏で、40度ある街中をふらふらになって二人で歩きました。おかげで、私もひとりで上海の街を歩けるようになりました。

 その時に、上海万博にも二人で行きました。人気のパビリオン前は長蛇の列です。ところが、Kさんは脇の別の入り口に行き、何かの書類を見せる。そして私を呼び、こっちから入ろうと言うのです。待たずに入れました。何を見せたのか未だに分かりません。そういう芸当のできる人でした。

 このような裏技について、嬉しそうに語るKさん。私は思います。このように、まともにぶつからず、裏を行く姿勢が、会社を大きくできなかった理由であると。
 力のないものが生きるためにはそういう道もいたしかたないのでしょうか。スマートにスーツを着こなし、きれいに磨き上げた立派なクラウンに乗って(中古車を安く買いたたいたものですが)自分を大きく見せる工夫に余念がありませんでした。

 人間、技におぼれてはなりません。

« 中堅企業における人事評価制度について考える | トップページ | 大阪国際女子マラソン 重友さん優勝 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 中堅企業における人事評価制度について考える | トップページ | 大阪国際女子マラソン 重友さん優勝 »