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2011年9月 7日 (水)

加賀屋のおもてなし 鳥本専務のお話

 先日、とあるセミナーで和倉温泉加賀屋の鳥本専務のお話を聞かせていただいた。加賀屋さんは私が勤務する会社にとってはお得意様である。31年連続人気投票1位に輝いた日本でトップの温泉旅館である。

 話の内容は人材育成や労務管理などであった。非常に面白かったので、聞いた話はできるだけここに書き留めておきたい。

 ●年に数十人採用するが新卒は少なく、中途の人が多い。最近では有名大学を卒業予定の女性が応募してくる。以前はそんなことはなかった。やめておきなさいと忠告するが、ぜひ客室係をやりたいと言う。価値観が変わってきたのかと思う。中途の場合は、他の旅館で経験のある人はお断りする。加賀屋よりも楽な仕事の仕方が身についてしまっていて、矯正できない。

 ●入ると3カ月研修所で訓練する。あいさつの仕方やふすまの閉め方はマニュアル通りにやれば習得できるが、おもてなしの心はマニュアル化できない。その部分が企業のノウハウである。できる子は面接の時の笑顔や雰囲気でおおよそ分かる。ほとんど外れはない。

 ●加賀屋の寮には保育所もあり、働きやすい環境を整備している。男子社員の場合は子どもが中学に上がるまで、女子社員の場合は高校に上がるまで寮に住むことができる。あるとき、加賀屋の子どもたちは宿題をやってこないという噂が流れたので、定年になった教師を雇って学習指導をさせることにした。

 ●加賀屋では料理人も他の社員と同等に扱っている。手当の部分は違うが、給与は同じ体系である。料理人もお客様の送迎を行ったりする。旅館は一時に仕事が集中するので、経理が喫茶店を手伝ったりして、複数の仕事をこなすようにしている。

 ●持ち家制度を設けている。35歳までに家を建てることを勧めている。土地はバブルの時に買ったものがたくさん余っている。50坪の土地に地元の工務店の施工で一戸建てを立てさせて1千万円で取得させる、足が出た分は会社負担だ。家を買うと会社を辞めなくなる。

 ●オートメーションで料理を運ぶ設備を導入した。配膳の負荷を減らすことで、接客係をサービスに集中させることができる。効率化のためにコンサルタントのアドバイスでセントラルキッチンを導入したが失敗した。料理が画一化して、お客様の満足を得られなかった。一人ひとりに違う料理を出すことに付加価値を付けている。

 ●従業員には、市内でパチンコをするな、金沢まで行ってやれと言ってある。狭い世界なので、加賀屋の従業員だということがすぐばれる。

 ●高料金をいただくことにはプレッシャーがあるが、人気ナンバーワンの旅館に勤めていることに誇りをもって皆仕事をしている。投票の結果を気にしている。

 ●愉快リゾートのような安い旅館にもニーズがあり、一つのやり方である。日本の接客レベルが低いので、接客係の付かないセルフサービスに近い形が受け入れられたのである。加賀屋は加賀屋のやり方で進むが、21世紀のビジネスモデルとしては苦しいのではないか。何を守り、何を捨てるのか考えなければならない。

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