« 大岡昇平「俘虜記」読書感想その3 | トップページ | お台場デモ(?)について »

2011年8月 8日 (月)

大岡昇平「俘虜記」読書感想その4

 5 敗戦後の軍幹部の言動について

 俘虜収容所にあっても、敗戦後の日本の様子は「タイム」に記事や「ライフ」の写真で把握できたという。

 東条英機の自殺未遂に俘虜たちは大いに笑ったとある。最初から死ぬ気などなかったと理解されたのである。軍人であれば銃の使い方はプロなわけだし、どこを打てば死ねるか熟知しているはずである。

 「マライの虎」と言われた山下奉文元大将が、比島で行われた日本兵の残虐行為について自分は知らないと法廷でいったことは俘虜たちを大いに憤慨させた。「どうせ逃れられないんなら、大将は大将らしく、部下の罪は自分の罪だといってもよさそうなもんだ」というのが彼らの気持ちだったのである。山下元大将は最後まで敗兵のホープだったらしいが、この一句が英雄を転落させたと大岡氏は書いている。

 6 最後に

 俘虜たちは、日本に帰れば肉親を戦死させた多くの遺族に会わねばならず、どんな面下げて帰って来たのかと誹りを受けるだろうと予想していた。しかし、実際に帰還してみると、よくぞ生きて帰ったと皆喜んでくれたというのだ。

 大岡氏が考えていたほど、日本の大衆の心は狭隘ではなかったのである。

« 大岡昇平「俘虜記」読書感想その3 | トップページ | お台場デモ(?)について »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 大岡昇平「俘虜記」読書感想その3 | トップページ | お台場デモ(?)について »