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2011年8月 2日 (火)

自ら規制する「市場」

 タクシーの運転手は楽じゃないらしい。長期のデフレ経済に大地震の影響が加わって、売上が著しく減少して惨憺たる状況らしい。

 短い距離だけれども、ときどきタクシーに乗車する。けっこう話好きの運転手さんがいて、いろいろ身の上話なども聞かされる。49年やっていて大阪の街の移り変わりを見てきた運転手さん。この仕事の前に、三洋電機の下請け工場を経営していて苦労したと語る運転手さん。運賃が下がり、長い距離を走っても戻ってくるときに高速料金を払うとなんぼも残らへんと嘆く運転手さん。休みが増えると売り上げが減る、サラリーマンと違って日当商売ですからなどとぼやく運転手さん。いい話は、とんと聞かない。

 先日聞いたのはこんな話。タクシーの仕事は最近やりにくくなった。好きなところで、好きな時に客をつかまえることができないというのだ。具体的に言うと、大手のホテルでは客待ちするタクシー会社を指定するらしい。そうすると自ずと大手の会社に仕事が行ってしまう。小さな会社や個人タクシーははじき出される。

 規制緩和の流れの中で、タクシー事業を興すことは簡単になった。行政の流れは今も変わらないと思うが、反面、市場の中で規制が行われるようになっている。
 市場にはルールが必要であり、一定の規制も必要である。なにかルールのあることが市場の動きを阻害しているように言われるけれども、制度から商習慣まで含めてルールがあればこそ動いているのが市場である。打破すべきは、先ほどのホテルのように特定業者の締め出しである。行政がそれをやったら批判は免れないが、民間では問題ないのか。
 ユーザーは乗客であり、ホテルではない。料金の安いタクシーを、ユーザーの利益のために引き入れるというなら筋も通ろうが、そうでなければユーザー不在でホテルの都合ということになる。他のタクシーに乗りたければ、路上で拾えというのだろうか。もっとも、車を選んで乗る客もあまりいないだろうが。

 グローバル化の動きは、力の弱い者にとっては脅威である。自立は早く諦めて、力の強いものに安い賃金で雇用されなさいというメッセージを勢いよく送り込んでくる。

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