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2011年7月 2日 (土)

人とともに育った生き物

 自然と人間は常に敵対しているように思いがちだが、人間がいればこそ繁殖できた生物もいる。それは人間が生きるために自然を加工し、加工された状況・条件が繁殖に必要な要素をたまたま提供したからである。

 私はかつて大阪府も京都府よりのずいぶん辺鄙な場所に住んでいたことがあった。ここでは夜になるとタヌキの姿を見かけるし、冬場になると鹿の姿さえ見ることができた。ある日、田んぼのあぜ道を歩いていて、タガメを見つけた。そして、家に持ち帰り、水槽で飼うことにした。しばらくして、元の場所に放してやったが、それはタガメが近年生体数を減らし、絶滅が危惧されていることを知ったからだ。

 子どものころには農村でタガメはありふれた存在であり、珍しいものではなかった。調べてみると、タガメの生息に適する条件は田んぼなどの浅く水がたまった場所であり、人間が手を入れないと作られない環境である。稲作が広がることにより、タガメの繁殖も活発になったのである。しかし、近年では農薬を多く使うことによって個体数を減らし、絶滅危惧種に指定されている。人間とともに育ちはしたが、人間の力によって死滅しつつある生き物だ。
 同じように、カブトムシも人が作った環境で繁殖した。いわゆる里山がカブトムシの生育に適している。人が手を加えていない森林は彼らに適さない。

 鳥類ではスズメが同様の例にあたる。人が離れ廃村になった地域にスズメの姿はない。食べ物を手に入れやすいとか、巣を作りやすいとかの条件が人里にあるからだろう。最近ではこれも数を減らしているが、絶滅を心配するほどではないらしい。

 このように、生物の盛衰は環境の変化が決め手になる。そして、今もっとも大きな変化の要因は人の手による自然の加工である。生きるためには自然を活用せざるをえないが、そのことが与える影響については十分に調査して、実行すべきことかどうかを判断する必要がある。

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