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2011年6月11日 (土)

補給(創造を持続するための)

 人間が創造的な活動を続けるためには、材料が必要であり、常にその補給が行われるように仕組みを作っておかねばならない。

 日本の軍事組織の弱点としていくつかの要素が挙げられているが、そのなかの一つが兵站の弱さである。戦を長く続けるには、戦地に人的資源と物的資源を送り込む活動が不可欠であり、予め準備されていなければならない。日本軍はそれが疎かであり、出たとこ勝負の無謀な楽観主義があった。

 この反省はなにも次の戦に備えるために行われたのではなく、経営学の立場から、軍の弱点は企業の弱点としても共通して生じるであろうという仮説に基づいている。ちなみに、兵站の弱さ以外の要素としては、情報の軽視があるし、意思決定の曖昧さがあった。情報については特に説明を要しないであろう。情報を収集し、分析し、戦略戦術を策定することが重要だが、それを疎かにし、過去の成功体験が重んじられた。意思決定については、会議の場で本音の意見が交わされることがなく、「場の雰囲気」が方向性を決定づけた。そして、その場の雰囲気を支配する要素としては、それまでに形成された人間関係であったり、組織内の序列であったりする。また責任をとることを回避する心理的傾向も考えられる。あの時誰かが一言やめようと言ってくれたら全員賛成していただろうというような、欧米人が聞いたら著しく奇異に感じるようなことが起こっていたのである。

 さて、兵站、分かりやすく言えば補給のことであった。このことを思いついたのは、文学における創作活動について考えていたからである。いかに言葉に対するセンスがあり、それを構成するスキルがあっても、題材がなくてはならないし、それにまつわる多くの情報を持っていなければ作品を組み立てることができない。驚くほどたくさんの作品を残した松本清張や司馬遼太郎は、図書館ができるぐらいの数の蔵書があり、作品を書く前にはスタッフに資料集めや情報収集をさせていた。それだけの背景がある。それまでの経験や知識だけで次から次へと書けるものではないのである。

 仕事をするにしても、こうやってブログを書くにしても、新たに学習を積むことによって知識や考え方を補給しなければならない。自分が抱えている問題や存在の矛盾を言葉で表現したいという欲求は絶えることがないが、雨が降らなければいずれダムの水が枯れることが確かなように、私の心も早晩干上がるに違いない。

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