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2011年1月30日 (日)

住井すゑの叱咤 自殺について

  自殺(自死ともいう)について書いてきた。年間3万人以上の人が自ら命を絶っていることを憂慮している。自殺の原因には様々あるが、増加の要因を社会の在り方に求め、その是正を訴えてきた。基本的に自殺する人を擁護する立場に立ってきたと言えるだろう。これは自分も死にかけた経験があるからこそ、苦悩に対する共感が根拠になっているのである。

 今日、久々にジュンク堂に行き、文庫本を2冊買った。(島尾敏雄の「死の棘」と山本周五郎の「季節のない街」)ついでに日本文学のコーナーへ行き何冊か立ち読みしてきた。そのなかに、住井すゑさんの随筆があった。
 そこで自殺に触れていたのだが、住井さんは自殺は無責任だと断じる。自分の周りの家族や友人たちがどれだけ悲しむか考えたら簡単に死ねるものではないと言う。また、生きるということについて突き詰めて考えないからだともいう。

 きびしい意見である。これは住井さんの叱咤であろう。決して弱いものに冷たい人ではないから、逃げていては救われないぞという激励の言葉として解することができる。住井さん自身は非常に強い人である。小学生のころから人に貴賎なしという考えを持ち天皇制に反対していたらしいから並の人ではない。戦中にはいろいろあったようだが、戦後長くその考えを貫いてきたのは信念のなせる業である。

 私は読んでいないが、住井さんに「橋のない川」という名作がある。川に橋を渡すのは人間である。川に身を投げるよりも、橋を渡す人間になりたいものだ。

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