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2010年12月13日 (月)

夢追い酒 渥美二郎

 演歌のなかに好きな曲はたくさんあるが、そのなかのひとつがこの曲である。渥美二郎は、他の演歌歌手もそうだったように苦労してレコードデビューし、ヒット曲を出すまでに随分時間を要した。彼の場合はのちに癌を患い、闘病生活を経て再びステージに立つという試練も経験した。

 演歌には「酒」がタイトルにつく曲が数多くある。今思いつくものだけ上げても、「酒は涙か溜息か」「おもいで酒」「ふたり酒」「酒よ」などがある。またタイトルにはなくても酒や酒場を題材にした曲は五万とある。
 なぜ酒や酒場が好まれたのか。日常から距離を置いた世界を演出してくれるからであり、その場所であるからだ。現実には、生活の愚痴を言い合うというような生活に密着した場なのだが、それを直接歌にすることは少なく、やや特殊な男女関係、恋愛関係を歌ったものが多いように思う。捨てられた女があり、捨てた男に対する恨み節もあれば、きれいに別れようとする歌もある。いずれにしても、それを聴く者も歌う者も、日常的に起こる心の疲労や損傷を、演歌というフィクションを通じて癒していたのであろう。

 「夢追い酒」にも恨みはあるが、夢と表現することで過去を美化し、悲壮感を抑えている。遠藤実の曲も明るい旋律を持っている。そこが、この歌のいいところである。また「指をからめて眠った幸せ」というフレーズなどにはぐっと来るものがある。売れる曲には、耳に残る旋律があり、その旋律にのった詞がある。

 ところで、ある時期から夫婦演歌と呼べる歌が多くなったように思う。これは、高齢化社会になり、惚れたはれたの時期に相当する若い世代が減ってしまったからだろう。苦労をかけたね、感謝している、これからも仲良くやっていこうというような歌が多い。それはそれで悪くはないし、私もそう思うし、いいのだが、歌にはならないように思う。そういうことは、人前で言うことではないだろう。

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