« 会話の楽しみ方 | トップページ | 東京6大学野球 早稲田が辛うじて秋のシーズンを征す »

2010年11月 3日 (水)

短期と長期

 短期的な景気変動よりも長期的な構造変化に目を向けるべきだと言い続けているが、現実には世の中は日々の株式市場の動きや為替相場などに目を奪われて一喜一憂している。資金繰りに汲々として明日がどうなるかも分からない会社ならいざ知らず、しばらく大丈夫なだけの貯えがある企業ならば、大きな流れを読んで将来に向けた事業の展開を考えるべきである。

 構造変化の中身は、一つは産業構造の変化すなわち製造業から非製造業へとウエイトが移っていることである。繊維関係で明らかなようにメーカーの生産拠点が国内からアジア地域へとシフトしている。そのことが、国内における雇用の問題や物価の問題などに大きな影響を与えているのである。
 もう一つは、少子化と高齢化という変化である。人口構成の変化は短期的には解決が難しく、如何ともしがたい現実である。特に、高齢化そのものには手の打ちようがない。少子化はこどもを生んで育てられる環境、条件を整えれば解決の道筋が見えるが、高齢化は加齢を止める方法がないのだからどうしようもない。そうすると、今まで生産にあたっていた人口がもっぱら消費する人口へと移動していくことになる。その消費は貯えの切り崩しか、生産に従事する世代からの補てんによって賄われることになる。したがって、今まで自ら生産し、自ら消費していた人口が多数であった時代に比べて需要は縮小する。生み出す富が小さくなるのだから当然である。これが現実である。

 これに対してできることは、まず新たな創造性の発揮である。日本という国、日本人という民族が歴史的に持つコアな技術やコアな文化を活かす道を、焦らず一定の時間をかけて見出すのである。これまでは、高い品質のものをバラツキなく大量に生産することを得意としてきたが、そのことでの優位性はなくなってしまった。もっとオリジナリティーのあるものを育てなければならない。そこにおいてはやはり、新しいものを生み出す人材を育てることが重要になる。これは企業の単位で考えても同じことである。
 つぎに、仕事に就ける人間の数を増やすことが求められる。よく言われていることだが、女性が働きやすい条件を作り出すことが一つの策になるだろう。これまでは女性が能力を発揮しにくい社会だったことは否めない。他に、外国人労働者の誘導である。現実には街を歩くと分かるように、需要に対応してかなりの数の外国人が流入しているが、それでも問題を解決するに足る量ではない。これも、無理やり連れてくるという発想ではなくて、来てもらいやすい環境を作ることが大事だ。来やすい条件とは、暮らしやすい条件と言い変えてもいい。
 
 ところで、予算を介護などの福祉分野に重点的に配分すれば雇用が創出され、そのことが巡って景気浮揚にもつながるという政策が打ち出されているが、あれは正しいのだろうか。しばらく前から抱いている疑問である。
 高齢者は恐ろしいほどのスピードで増えていくから否応なしにその分野に予算を使う必要性が生じる。また、そうすべきだと思う。しかし、それが景気を上向かせる力になるのかどうかは分からない。高齢者に対する介護は市場社会で言うところの価値を生み出すのだろうか。保健や医療の政策は痛んだ労働力を再生するという意味で次の生産につながるし、医薬品や医療機器の需要にもつながるだろうが、介護は体を使った仕事であり、介護される老人は命そのものを長らえることがあっても労働者にはなれない。だから景気循環に資するという次元の話ではないのではないか。別の原理で考えるべきもののように思うのである。

« 会話の楽しみ方 | トップページ | 東京6大学野球 早稲田が辛うじて秋のシーズンを征す »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 会話の楽しみ方 | トップページ | 東京6大学野球 早稲田が辛うじて秋のシーズンを征す »