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2010年11月28日 (日)

TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)

 政府がTPPへの参加を検討していることに対して、農業団体を中心にして各種団体が断固反対の動きを見せている。新聞にはデモ行進する彼らの姿が掲載されていた。同様のニュースを見られた方も多いと思うが、どう感じられただろうか。

 日本の農業の実態については意外に知られていないように思う。農業人口は年々減少し、従事する者は高齢化している。食糧自給率は約40%と先進国のなかでもきわめて低いが、米だけはほぼ自給できている。これぐらいが標準的な知識だろうか。この状況のなかでTPPに入ることの目的はなんだろうか。またその影響はどれほどのものか。

 TPPの解説をジェトロのホームページから拾うと、「2010年10月現在、TPPにはシンガポール、ニュージーランド、ブルネイ、チリ、米国、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシアの9カ国が交渉に参加している。TPPは2010年3月から、政府間交渉が開始され、物品貿易に加え、投資、サービス、政府調達など幅広い分野を対象としている。」とある。
 TPPに加盟すると、お互いの輸出入において関税が原則ゼロになる。このことで海外の農産物がさらに安く入り、日本の農産物が売れなくなる事態が予想される。主な輸入先が米国とオーストラリアになるだろうことは詳しくない人にもわかるだろう。「さらに」と書いたのは、すでに日本が農産物にかけている関税は低いからだ。平均で11%程度で、交渉に参加している国ではアメリカだけがこれより低い。日本は高い関税をかけて農業を保護しているように思いがちだが、それは誤解であって、すでに解放はされているのである。日本の食料自給率が低いことの原因はそこにある。関税がゼロになれば、これまで自給していた米が米豪から入ってくる。約400万トンとの試算もあり、これも含めて自給率は大幅に低下し、17%になるとも言われている。

 日本の農業はこれまでも工業生産物の輸出と引き換えに犠牲にされてきた。工業化が進む中で労働者の賃金は上昇して行ったが農民の所得はそれに追いつかず、飯が食えないうえに将来にも期待を持てない若者は農村を捨てて都市に流入したのである。ここで注意しなければならないことは、このような変化は自然に起こるのではなく、一定の政策選択によるものであることだ。政策はある階層や集団に有利に働けば他方で別の階層や集団に不利に働くということも言っておかなければならない。TPPの問題で重要なことは、この選択が大多数の国民にとって中長期的に大きな不利益をもたらすということだ。

 日本の農業が壊滅的な影響を受け、食の安全保障を危うくするだけでも大変な話だが、そのほかにも地方経済や地域社会の衰退をさらに加速させ、また治山治水の水準の低下、景観の劣化などを惹起する。このようなことは絶対に許してはならないことである。一部の輸出で設ける企業の言い分を通すためにこのような事態に目をふさぐことは、日本の政治をあずかる立場の人間がすることではない。

 選択を間違わないでもらいたい。

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