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2010年10月31日 (日)

傾向とそこに加わる力

 おもしろいことを聞いた。あるひとが鍼灸師に治療を受けた時の話だ。自分たちが歓迎するのは症状のピークをすぎて回復期に入った患者である。そういう時期に加療すると、回復する力と治療の効果とが相乗作用を起こして効果が大きくなる。すると、自分たちへの評価が高まるというのだ。逆にこれからどんどん悪くなっていく時期だと、いくら加療してもその効果が悪くなる傾向に相殺されてしまう。するといくらいい治療であっても藪医者と言われてしまうのだと言う。

 随分勝手な言い分だと思うが、理屈としては正しい。傾向あるいは勢いというものには抗いがたいものがある。調子の良い時には努力すれば大きな前進がある。調子が落ち始めるとちょっとやそっとの努力ではその流れを止めることができない。
 人体が数多くの細胞や器官から成り立っており、有機的な動きの中で生命の傾向が生まれてくるように、組織もまた単に人間の寄せ集めでない複雑な要素がある。それらの相互作用によって変動の傾向性が生まれる。その傾向をうまく読み取って手を打たないとなかなか思うように動いてくれないのである。

 数学や物理学のように計算だけで事は運ばないにしても、組織を運営するにあたっては工学的な発想が必要である。

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