« タクシードライバーの嘆き | トップページ | 進化について »

2010年10月13日 (水)

内なる植民地

 失われた10年に続く次の10年もまたはっきりとした上昇傾向が見られず日本経済は低空飛行を続けている。サブプライムローン問題やリーマンショックは、弱った日本経済にはかえって直接的な影響を与えなかったが、欧米の金融システムが混乱し、実体経済をも減速させたことによってじわりじわりと効いてきている。
 さらに、円高が進行している。輸出で喰っている企業には痛手であるし、生産を海外に移転させることによって製造業の空洞化がさらに進むと言われている。長期的にみれば、少子高齢化で労働人口が減少すると同時に消費人口も失われていく。巨額の財政赤字も重しになる。そんなこんなで経済が拡大していく道筋が見えない。

 アメリカは日本に比べるとまだ成長の潜在力はあるという。消費大国といわれ、GDPの7割を個人消費が占めていた。それも住宅の価格が暴落することによりバブル消費に頼ることができなくなった。それでも成長が期待できるのは、ヒスパニックを中心に大量の移民を抱えているからであり、ドル安で製造業の復活を企図しているからでもある。
 移民の賃金は安い。日本でいう非正規雇用者が多く、移民の子弟もサービス業のアルバイトで雇用されている。ある本では、移民の学生アルバイトでは時給3ドルで働いている事例があるという。アメリカ経済はこのような低賃金層によって支えられているし、これからもそれは続く。産業界からの視点で見れば、これが成長の一つの要素になるのである。通常は安い労働力を求めて海外に進出しなければならないが、こちらから行かなくても来てくれるのであれば都合がよい。彼らに、生活の保障を十分に与えないまま低賃金で働かせたとしたら、実質的には国内に植民地を持ったも同然である。そのように考えるとアメリカの成長力の本質が見えてくる。

 日本はそれをまねるべきではなかろう。一般的に国の垣根を越えて民族が交流し、足りない点を補い合うことはいいことだ。それであれば、外国人という理由だけで権利を制限したり、待遇を切りつめたりすることは避けなければならない。そういうルールを守ったうえで助けてもらえばよいと思う。差別と収奪は、結局国の基盤を弱くし、安定的な成長を妨げるだろう。

« タクシードライバーの嘆き | トップページ | 進化について »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« タクシードライバーの嘆き | トップページ | 進化について »