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2010年7月16日 (金)

プロ野球選手考

 プロ野球選手はどういう身分であるか。日本プロ野球選手会という組織があり、労働組合としての性格を持っている。これに対し、プロ野球選手は特殊技能者であるという考え方や個人事業主であるという考え方がある。私は法律の専門家でもないし、にわか勉強もしていないけれども、今現在思うところを書きたい。
 特殊技能者だと言ったのは、大洋ホエールズの松原さんだったと思う。自分たちは普通の労働者とは違い、特別な技能を持った存在であり、特別な待遇を受けることに道理があるということを言いたかったのだと思う。落合博満は、野球選手は個人経営者(事業主)であると言った。球団と対等の立場でものを言い、契約を交わすことのできる存在との見方である。
 どちらにも一理はある。特殊技能者であることは間違いない。プロ野球選手になれるのは年間100人もいない。医者や弁護士よりも圧倒的に少なく、試験を通ればよいというものではないので非常に狭き門である。常人には出来ないプレーが可能であり、あこがれの視線も集められる。しかし、非常に不安定な職業であることも周知の事実であろう。医者であれば、免許を持っていれば誰でも開業することができる。(友人は開業の準備や手続きも大変だと言っていたが。)また、まじめに経営していれば高齢になるまで続けることができる。プロ野球選手は、入団しても一軍のレギュラーとして定着することが容易でない。二軍選手や一軍でもレギュラーでなければ高額の年棒獲得は難しく、プロのスポーツマンとして必要な費用を考えると決して楽な生活ではなかろう。そして大半は志半ばで退団し、第二の人生を歩むことになる。
 これに対し、一流の技量を持ち一流の実績を残した選手は普通の労働者の数十倍の年棒を得ることができる。このクラスになって初めて個人事業主という定義が近づいてくる。しかし、それでも球団と完全に対等ではない。まず、契約相手を自由に選ぶことができない。毎年、契約相手を選ぶことができれば対等といえるが、移籍の自由は基本的にない。フリーエージェントなど一定の条件をクリアした時に認められるのみである。また、よほどファンの支持があって、世論の力を球団側が意識している場合はともかく、通常は力関係で球団側に歩がある。球団はありとあらゆる情報を持っており、マイナス評価につながるデータを出してくる。個人でそれとやり合うのは難しい。そういう意味では、選手会が交渉の情報的バックアップを担うことには大きな意味があるだろう。
 これから一流を目指す選手たちにとっては、最低年棒の底上げや、寮などの生活条件の改善、怪我をした時の治療費の補償など労働組合に担ってほしい課題がある。厳しい競争があり、入れ替わりの激しい世界なので、いつ職場を失うか分からない存在だが、期待の大きさにふさわしい最低限の待遇は確保してもらいたい。

 別に契約金の問題があるが、これはうんと減らした方がよい。高くても3千万円ぐらいにする。減らした分は5年間ぐらい、生活保障として給与の基礎部分に充てる。そうすると入団後の生活がかなり楽くなる。もちろん、早期に退団した人には残りの分を払うわけにはいかないだろうが、大器晩成の選手もいるのでしばらくは力を付けるためにトレーニングを続けられる条件を整備してやってほしい。

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