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2010年6月12日 (土)

亡き会長から教えられたこと その4

  会長がよく語っていた言葉に、「給料はお客さんからいただく」がある。多くの経営者が口にするので珍しくはないけれども、商売をする者にとっては基本的な道徳ではないかと思う。これは、日本的な考え方だと思う反面、企業活動にとっては普遍的な意味を持っていると考える。給料は働く者から見れば、直接は雇用主から受け取るのだが、元になるのは売上であり、市場経済においては買っていただいて初めて価値が現実のものとなるのである。
 この考え方が社員に深く浸透し、集団として共有するエートスにまで高まれば強力な企業に成長するだろう。しかし、それは容易なことではない。営業部門は直接顧客と接するので理解しやすいが、工場部門や総務部門は自分と顧客とのつながりを実感しにくいし、製品を開発している部門でさえそういう精神に欠けた人達がいる。そこで、営業マンと一緒にお得意先を訪問する企画を立てて実施したりしているのである。このことにより、自分たちが作っている製品を買っていただくことは、一筋縄でいかないことであり、有難いことなのだということが分かる。こういう試みがすべて会長の言葉を起源としているわけではないが、風土として残っているからこそやってみようとなるのだろう。

 これも会長が残した大切な財産である。

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