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2010年6月 5日 (土)

亡き会長から教えられたこと その3

  会長は今から5年前の暑い時期にこの世を去った。亡くなってから二月近くのちに社葬が営まれたが、その時の様子は社内報の特集号にまとめられている。古くから付き合いのあった取引先の社長や司法書士の先生などの弔辞はもちろん記憶にあるが、会長が大好きだった阪神タイガースの応援歌「六甲おろし」を弦楽四重奏が奏で、それがいまだに耳に残っている。社内報には、現役の社員、OB、あるいは訳があって途中で退職した方の哀悼の辞が寄せられている。それを読みなおしてみると、私が抱いている会長像との差がなく、皆に公平に接していた様子が想像される。
 私は結婚するとき、会長に仲人をしていただいた。結婚の相手が会社の近隣の娘であったので私より先に知っていたという因縁もそうしていただいた理由の一つだ。その後、正月にあいさつに伺うことが恒例の行事になった。子どもが出来てからはなおのこと訪問を喜んでくれた。会長自身にはお子さんがなく、残念だったろうと思うが、その分社員とその家族に愛情を注いてくれた。子どもにはお年玉を用意してくれたが、現金を渡すことは一切なく、阪神デパートで買ったおもちゃが専らのプレゼントだった。ある年にはハイパーヨーヨーというおもちゃが大流行し、なかなか手に入らない状況が続いたのだが、会長宅で息子がそれを欲しいと言いだした。それを聞いた会長はずっと記憶に留めていたのであろう、東北に出張に行ったとき、おもちゃ屋を回って探してきてくれたのである。そこまでしてくれる人がどこにいるだろうか。後にも先にも、そういう人を知らない。

 決して偉ぶることなく、自分よりも会社や従業員のことを先に考える、無私の人だった。 

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