« 本屋はアイデアの宝庫である | トップページ | 人を信用できない社会に 宅配便の事情より »

2010年6月 2日 (水)

亡き会長から教えられたこと その2

 会長は、仲間と一緒に興した会社を成長させる過程で、様々な困難を経験している。その経験を後々聞かされることになるのだが、一から事業を始めた人には苦労が付きもののようである。利益が出なくて給料が捻出できず社員にN社小切手を発行して渡したとか、あんぱんを食べながら営業に駆け回ったとか、そういう類の話がたくさんある。なかなか注文がとれず諦めて宿に入りかけたが、思い直して再度問屋を訪問し、11時過ぎまでねばってやっとその日の目標を達成したという話もある。同行していたOBによると、今日はこれだけ売らないと社員の給料が出ないんやと言っていたらしい。経営者とは本当に厳しい立場にいるのである。
 そういえば、新幹線でたまたま近くに居合わせた同業者A社の社長が、「トップは苦しいね。ナンバー2か3が楽でいいよ。早く降りたいね。」と語っていたが、そういう話を他社の人間にするのはどうかとは思うが、まさに本音であろう。
  N会長は社員を自分の家族のように面倒を見た。あるとき独身の社員が消費者金融に多額の借金を作って悩んでいた。それを知った会長が乗り出し、借金を大幅にまけさせて決着した。その時の社長の論理は、「あんたは金があるから貸したんやろ。こちらは金がないから借りたんや。」である。金がないのだから返せないことにも道理があるという、少々詭弁のような話である。相手にとったら、こんなややこしい人間に粘られるくらいなら、額は減っても回収できるものはしておいた方がよいという計算が働くのだ。彼らも経験的に臭いは嗅ぎ分ける。
 こんな交渉は普通の人間にはできない。お見事と言うしかないが、こういう話がカリスマ性を高めたのは間違いない。社員が言うことを聞くようになるのも分かる話だ。

« 本屋はアイデアの宝庫である | トップページ | 人を信用できない社会に 宅配便の事情より »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 本屋はアイデアの宝庫である | トップページ | 人を信用できない社会に 宅配便の事情より »