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2010年5月22日 (土)

インセンティブは必要か 

 インセンティブとは、目標の達成に向けて個人や組織のやる気を引き出すための刺激であり、主に金銭的な報酬として与えられる。
  一時期、成果報酬型の給与体系への移行が声高に叫ばれた。日本経済が長期の停滞期に入り個々の企業の成長も容易ではなくなった時期に、競争原理を持ち込むことで既存の社員のやる気を鼓舞したり、外部から有能な社員を獲得するための方法として導入が検討されたのである。それが極端な格差を生じる中身であった場合には、社員が短期的な成果を追い求めることで弊害が生じ、「成果主義」という表現で批判を受けることになった。
 さて、インセンティブの目的は理解できるけれども、実際に制度化して運用するとなるとなかなか簡単には行かないのである。恒常的な制度ではなくスポットのインセンティブであっても賛否両論あって内容を決めかねるときがある。私の勤務する会社では業務の効率化に取り組んできたが、私は効率化した時間に応じて部門への報奨金を設けることと実績を上げたチームに対して優秀賞を出すことを提案した。これに対して管理職の皆さんは概ね賛同してくれたが、現場からは批判的な意見も出ている。その人達は、これまでの取組のなかで先進的な働きをしてきた人たちだ。彼らに言わせると、「自分たちはお金のために努力してきたのではない。評価はしてほしいが、それは正規の評価制度のなかで行われるべきであって、にんじんをぶら下げるやり方を見せられると逆にモチベーションが下がってしまう。」となる。彼らはよく努力しているし、心意気は非常に分かるのだ。だから、この意見は無視することができない。しかし、これだけですべてを判断することはできない。
 彼らは何年かかけて実績を上げてきたし、成長も遂げてきた。今だからこのような立派な意見が言えるが、最初はそうではなかったはずである。会社全体を見渡すと、まだやっと歩み始めたような未成熟な社員も多い。彼らは、これらの未熟な社員に対しじれったい思いを抱くに違いないが、そこはもう少し高みに立って、どうしたら引き上げることができるか一緒に考えてもらいたい。方法は一つではないだろう。そのなかにインセンティブの選択肢もあると考えればよい。
 お金のためではないと言ってくれるのはすごくうれしい。私もそういう気持ちで仕事をしている。理念や信念や名誉のために頑張っているのだが、結果としての報酬はそれ相応のものが与えられてしかるべきであろう。そのことは誰も否定しない。インセンティブは必要だが、あまり前面に押し出すのは考えた方がよさそうだ。

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