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2010年3月21日 (日)

思考力と知識は課題達成・問題解決の両輪

 生きていくなかで、課題を達成したり問題を解決したりするには、思考力と知識が必要である。これが答えを導き出すための両輪であることは分かる。思考力にも論理的な思考力と瞬間的に働く直感があるだろうし、知識にも断片的なものもあれば多くが組み合わさった総合的な知識もあるだろう。中身は単純ではないが、簡単に言ってしまえば、思考力と知識である。

  *知識の量と質
 日本の大学に入るまでの教育の問題点として、長い間「詰め込み教育」の弊害が叫ばれてきた。そしてその反動としての「ゆとり教育」が行われ、さらに揺り戻しとして再び教える中身のボリュームアップが図られた。教育審議会などで議論されてきた内容については関心がなかったので詳しくは知らないが、最終的には「量」の問題が焦点になったのではないかと思う。確かに、またあとで述べるように、たくさん知っていることは大事である。しかし、質的な面もおろそかにできない。鉄砲はいつどこに伝来したとか、信長が楽市楽座を推進したとかいう知識を覚えるのも無意味ではないが、鉄砲の伝来がその後の戦法にどんな変化を与え、それが社会の変動にどうつながったを教えることが大事であるし、楽市楽座が経済の活性化に及ぼした影響を教えることも大事である。そして戦国時代という時代がトータルとしてどういう性格を持っていたかを他の時代と対照させつつ分からせることが重要なのである。そうすれば、一つひとつの断片的な知識にも断然違った値打ちが生じる。

  *思考力の中身
 考える力が不足しているという。職場で周囲のいわゆる中年に属する人達を見ていても考える力が不十分だと思う時がしばしばある。問題解決にあたって、まず問題自体が正確に捉えられない。そこに正しく対応しない対策を考えるものだから、結局同じ問題を再発させてしまう。こういう状態だから、若い層の思考力がさらに弱っていったら今後どうなるのかと心配になってしまう。現実の問題として、その弱さは企業の組織力に影響するから放置できない。毎年何百万円かを投じて教育・研修を行うことになる。本当を言えば、就職する前に身につけておいてほしい技量である。
 考える力には論理的思考力と直感とがあると書いたが、よく考えるとこの二つには強いつながりがありそうだ。直感の元は経験であろう。社会的な現象に対して子どもは直感が働かない。過去の現象と現象とを論理的につなぎ合わせて、原因と結果の連関のパターンを会得しておれば新たな現象に対して直感が働くようになるのではないか。したがって、子どもの教育における考える力の育成は高度なものにはなりえないだろう。
 とはいえ、初歩の段階から思考力習得のプログラムを組み込むことが必要である。よく例に出されるフィンランドの成功なども参考にして、少人数学級化などの政策と合わせて進めるべきだ。

  *結論
 教育の話になってしまったが、言いたかったのはそういうことではない。思考力は思考力として単独であるのではない。思考力はまた、論理学を学べば身に付く性格のものでもない。それは、経験のなかで具体的な事例を通じて訓練される性格のものである。
 思考には材料が必要であり、それは経験や学習によって得られる知識である。知識はバラバラであるよりもある程度体系化されている方が使いやすい。実際に考える場面では、知識によって論理の正しさを補強できる。よく使われる例では、「人間はビタミンの摂取を必要とする。野菜はビタミンを豊富に含んでいる。だから、人間は野菜を食べなければならない。」という論理がある。いつも野菜を食べなさいと言われ続けている人は、とっさにこれは正しいと思ってしまいそうだが、実は誤りである。ここで野菜以外にもビタミンを含む食物があることを知っていればこの論理のおかしさに気がつきやすい。もちろん、知らなくても分かる人には分かるのだが、知っていることで早く答えに到達できる利点があるのは間違いない。たくさん知っていることの効用は間違いなくあると言えるだろう。
 ただし、気をつけなければならないのは、誤った知識や偏見を持っていると、論理的な思考力を持っていても誤った結論を出しがちだという点だ。ビタミンは野菜にしか含まれないと思い込んでいたら、その偏見が論理の力を粉砕してしまうだろう。そうすると正しい知識を身につけることがいかに大事かが分かってくる。

 われわれに大事なのは、問題に直面した時に、あるいはそれへの解決策を考えるときに、本当に考えていることが理屈として合っているのか執拗に点検することである。これが訓練にもなる。また、日頃から本を読むなどして知識を豊富に身につけることである。ただし、いい加減な内容の本は選んではいけない。分からなければ、よく勉強していてバランスのとれた発言をする先輩に助言を仰ぐと大外れはしないと思う。

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