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2009年10月31日 (土)

筆談ホステス 斉藤里恵

 旭屋書店で本を探していたら、「筆談ホステス」というタイトルが目にとまった。立ち読みすると、著者は生れてしばらくして病が原因で聴力を失った。そのハンデのためか非行に走り、青森では有名な不良少女になったそうだ。その彼女が水商売で接客することを仕事にし、頑張っているという話である。意地悪なママに、客との性交渉を強制されたり(危機一髪逃げ出したらしいが)盗みの罪を押し付けられたりと、まさに犯罪的ないじめを受けてきた。それでも、店を移ることはあってもホステスという仕事は今も続けている。

 言葉がうまくしゃべれないから、コミュニケーションの手段として筆談が使われる。お客の方もわざわざそのような相手を選ぶわけだから、少しばかり忍耐が必要だ。それは、同情であるかもしれない。それに写真を見て分かったのだが、彼女は可愛いのである。和服を着た姿は銀座のナンバーワンホステスと言われても違和感はない。確かにハンデがありながら、よく頑張っていると思うのだが、珍しさとともにやはりきれいであることが成功の要因になっている。障害を持つ人たちの励ましとなっているということなので、それは率直によいことだと思うが、彼女が他の人にはない特別なものを持っていることは間違いない。とはいえ、彼女自身が書いているように後から若い娘が入ってきて競争が激しい。いつまでも可愛さを売りにできない。筆談を通じてでも、相手を気分よく楽しませて帰す術を身につけなければならない。これからが彼女にとっての正念場なのだ。
 

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