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2009年9月13日 (日)

自殺考

 自殺(「自死」という言い方もある)については何度かブログで触れている。1998年以降年間の自殺者は3万人を超えており、減る気配はない。交通事故による死亡者が6千人程度であることを考えると、5倍以上の人数であり、その多さが分かる。その原因と対策については新聞紙上でもときどき見解が紹介されている。今日は日経の「今を読み解く」で東京工業大学の上田紀行准教授が論壇での代表的な主張を紹介しながら、自説も展開している。

 自殺の増加の社会的背景として経済情勢の悪化があり、原因のざっと半数が経済的理由であるらしい。他に、病気や人間関係の問題が原因としてあげられるが、これらは以前からベースとしてある原因であり、そこに経済的な理由によるものが上乗せになっていると解釈すればいいだろう。
 さて、なぜ自ら命を絶つのであろうか。経済的な理由があるからといって、すべての人が自殺するのではない。多重債務者の問題は、宮部みゆきさんの「火車」を紹介したブログでも紹介したが、弁護士など良き相談相手がいれば最悪の事態は回避することができる。身近なところに相談を受ける人や組織のあることを情報発信していれば、足はそちらに向かったかもしれない。一部には、本人の生活能力や判断力の問題に結び付けてしまうきらいもあるが、いくらかでもこの事態を解決したいと考えるのであれば、もっと広いところに目を向けるべきである。先ほどの上田准教授も、自殺問題は日本社会の根幹に関わる問題だという意見であった。私は、社会が弱者にどれだけ目を向け、すくい上げることができるか試されているのであり、いわば「救済力」が問われているのだと理解したい。

 ところで、背景にある経済問題に対して有効な対策を施し、失業者や債務者に対する応急的な対策も合わせて考えることが必要だ。当座の生活資金を給付したり、仕事を紹介したりすると同時に、先ほど述べたように自殺に向かう足を直接止める手段を講じるべきである。遠因ばかり論じていても、今死のうとしている人を救うことができないからである。

 自殺にもいろいろな中身がある。自殺サイトで知り合い、集団で自殺するようなケースもあった。若者の場合には、そういった「誘惑」めいたものに動かされることもあるのだろう。これには心理学的アプローチも必要になるだろう。また、東尋坊や樹海を死に場所に選ぶ行動の問題もある。何かしら、死に意味づけをしたいのかもしれないし、誰かに見つけてほしいという最後の防衛本能が働くのかもしれない。詳しくは分からないが、検討すべき要素ではあろう。
 電車への飛び込みが多いが、関西では私鉄よりもJRに集中しているようだ。これはなぜなのか。マスコミで報じられることが、JRを場所として選ぶ動機づけになっているのだろうか。これもはっきりとは分からない。分からないことが多いけれども、自殺防止には、その解明が欠かせない。自殺者の家族に話を聞くと、なぜもっと話を聞いてやれなかったのかと悔やむ声が聞かれる。まずは、聞くことが大事なのだと思う。家族も、社会も。

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