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2009年9月 5日 (土)

嫁入り舟 抒情派演歌の最高傑作 

 抒情派演歌というジャンルが成り立つならば、その最高傑作は野路由紀子が歌った「嫁入り舟」であろう。1973年にヒットした、吉田旺作詞、鈴木淳作曲の作品である。
 歌詞と曲が絶妙にマッチして、どうにもならない悲しさを表現している。特に、「今日の最終でこの街出たいけど、老いた母一人残して行かれない」という一節は、好きな人と彼と一緒になった人との生活を近くで見ながら生きることの苦痛を予想しながらも、逃げることのできない境遇を痛々しく歌っている。また、「一度だけ彼にあげた唇かみ締めて」というフレーズは、いろいろな解釈が可能であろうが、女の怨念を感じさせるものである。この女性はこのまま引き下がることはないだろう。復讐するにしても泣き寝入りするにしても、幸せにはなれないだろうから、最後は女の意地の問題である。抒情的なメロディーには乗せているが、一回だけ唇を軽々しく奪っていった男への恨み節なのかもしれない。ちなみに、「一度だけ」は「たった一度」に変えたほうが効果的である。

『嫁入り舟』
傘に絡みつく柳をよけながら
雨の掘割を嫁入り舟が行く
彼の元へ嫁ぐ人を私はずぶ濡れて
見つめているほほの涙ぬぐいもせずに
今日の最終でこの街出たいけど
老いた母一人残して行かれない

濡れた白壁をかすめて飛ぶツバメ
アヤメ咲く中を嫁入り舟が行く
彼の手紙細く裂いて水面に浮かべてる
悲しみなど誰も知らず小船に手を振る
今日の最終でこの街出たいけど
老いた母一人残して行かれない

一度だけ彼にあげた唇かみ締めて
雨の中にかすんでゆく幸せ見送る
今日の最終でこの街出たいけど
老いた母一人残して行かれない

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