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2009年8月 4日 (火)

アキハバラ@DEEP

 ドラマにも映画にもなった作品。題材とストーリーが、特別奇抜だとは思わないが面白い。特長は、登場人物がそれぞれ個性的に描かれている点で、いわゆる「おたく」の青年たちの行動や感情が非常にダイナミックである。

 ページ、ボックス、タイコ、アキラ、イズム、ダルマの6人はそれぞれ病気などのハンディキャップを抱えているが、皆秀でた才能を持っている。その才能を結合させて、新しい検索エンジン「クルーク」を開発する。しかし、精魂傾けたこの「クルーク」を、大手IT企業の強欲なオーナーに略奪されてしまう。それを仲間たちの協力を得て、奪回するまでがこの物語の中身になっている。

 秋葉原という、IT社会の象徴である場所とおたく青年を題材にしているところが新規さを感じさせるが、表現されている核心は、ハンディにも関わらず自分の才能を活かす道を真っ直ぐに追いかけ、仲間と力を合わせて大きな仕事をやり遂げるという青春小説の基本ではないだろうか。

 長編であり、内容的にも読みごたえはあるが、いくつか疑問があるので書いておきたい。ハンディがあると書いたが、アキラの場合は軽いように思う。美人なので、返って見た目でしか判断されないというコンプレックスを持っているのだが、少し贅沢かもしれない。男性から見るから余計にそう思うのだろうが、美人で、スタイルがよく、格闘技までできるのだから自分に自信が持てる条件は十分である。どういう女性なのか、想像力を逞しくして読んでいた。

 もう一つは、エンディングである。途中が面白ければ面白いほど終わり方が難しい。途中は、これからどうなるかという期待を上乗せできるので書きやすいのだが、最後の最後はもう先がないから、正味の内容で勝負しなければならない。大手IT企業の本社ビルの厳重なセキュリティーを破って侵入し、頑強な護衛を倒してプログラムを奪回するが、そのくだりがやや弱いように思う。あっさりと終わってしまったという気がする。これは多くを期待しすぎるからだろうか。

 石田衣良は現在を代表する作家のひとりであり、テレビ出演も多く、評価も高い。今回初めて読んだのだが、その良さはもっと読まないと分からない気がする。

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