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2009年7月18日 (土)

吉本ばなな 「TUGUMI」 

 会社のHさんがよく読んでいるという吉本ばなな。私は、父親の吉本隆明の方に馴染みがある。学生時代に、「共同幻想論」や一連の政治評論集(勁草書房刊)を読み、それなりに影響を受けている。特に、その「転向論」には耳を傾けるべき中身があったように記憶している。

 ところで吉本ばななの作品は初めて読んだ。彼女も今年でもう45歳なのか。この「TUGUMI」にしても、20年前の小説なのだ。あえて避けてきた感がある。吉本と娘は違う。懐かしさはあっても、読む必然性はなにもないと。

 読後感は、悪くはない。彼女の作品に対する評論は一つも目にしていないので、予見はない。「つぐみ」という少女は面白い。面白いけれども、もう一つ正体がはっきりしない。病弱、細身、色白、長髪、美人・・・。病床に臥せっていることが多く、本を矢鱈たくさん読んでおり、観念の世界は常人よりも広がっている。外面よく、内面極めて悪し。病弱で、その生存が非常に危ういために逆に精神が先鋭化しており、時に恐ろしく高い電圧で持って気が放たれる。そんなイメージであるが、内輪で話されるつぐみの暴言に近いような言葉が、やや不快に感じられるのは私の受け取り方の問題だろうか。容姿と言葉とのアンバランスはこの小説の最も大事な仕掛けであるには違いないが、なにかしっくりこないところがある。全体としては、女性らしい柔らかな表現が多く、いかにも若い女性に支持されそうな内容だと思った。ところどころひっかかる表現もあるが、上手なのではないか。最後に、つぐみはてっきり死ぬものだと思って読んでいたが、持ち直してしまう。勝手に言わせてもらえば、死んだ方が返って、読者に彼女の記憶が鮮明に残ったのではないだろうか。

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