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2009年6月 7日 (日)

平野啓一郎 「顔のない裸体たち」

 はじめて読んだ平野啓一郎の本である。秋葉原の無差別殺人事件で、その内容がよく似ているということで反響を呼んだ「決壊」には関心があったが、今まで手に取ることもなく過ぎた。昨日紀伊国屋書店で文庫を見ている時に、たまたま新潮文庫の平野啓一郎の棚の前に立ったので、何冊かの文庫本を目にすることになった。

 そのなかに「顔のない裸体たち」という作品があり、長さも一日で読むには適当だったので買うことにした。詳細な内容は要約するだけでも際どい中身になるので避けるが、インターネットを媒介にした人間関係や自己顕示の欲望が、匿名性が背景にあって異常化していく危険性を表現している。もう少し具体的に書くと、出会い系サイトが媒介する男女関係や露骨な投稿写真の問題などである。

 その気があれば誰でもすぐに入っていける社会であり、現実の人間関係が希薄になればなるほど、また、まともな思慮を欠けば欠くほど引き込まれる危険性の高い社会であるので、注意が必要である。他ならぬ自分自身もそうであるし、自分の子供にも気をつけなければならない。

 平野啓一郎は初めて読んだが、文章は書ける人だと思った。大学在学中に投稿した作品が、いきなり芥川賞を受賞したので、並みの作家ではないのだろう。こんな表現ができるんだなあという部分がたくさんあった。現在の、若い作家の小説を読むことにより、今ある社会の問題を知ることができる。このネット社会の問題もそうであるし、フリーターの生活実態や生活感情などを知ることは大事である。

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