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2008年12月 6日 (土)

加藤周一氏逝く

 「知の巨人」と言われた加藤周一氏が亡くなりました。89歳でした。しばらく前にテレビ出演していて相変わらず鋭いまなざしで鋭い発言をしていました。96歳になって依然元気な新藤兼人さん並みに長生きするだろうと信じていただけに実に残念です。

 加藤氏は元々お医者さんでしたが、その後の活躍は文学から文化評論、政治問題への評論に至るまで実に幅広い領域に渡り、また一つ一つに実に深みがあって、同時に他を圧倒する力強さがありました。私は、いくつかの評論集と対談集を読み、氏の信望者になっていました。特に日本の文化をいかに発展させていくかという問題意識には共感する部分が多かったと言えます。過去の文化から積極的な要素を見つけ出し、そこに世界に通用する普遍的な尺度を見つけなければ、いつまでたっても自立した日本になれないのではないでしょうか。過去を捨て、西欧をすべて正とする立場は間違いであるし、西欧を否定して日本の過去をすべて正とする立場も間違いなのです。社会の進歩が行き詰まりを見せている今日、どういう国を作っていくか考えることが必要ですが、その際に加藤氏の提起はなお示唆に富んでいると言えるでしょう。

 また、評論活動だけではなく、大江健三郎らと「九条の会」を作り、憲法第九条を砦に護憲を貫き、平和を求める運動を展開したことも付け加えておきます。

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